記録と伝承
防壁の書2巻
(防壁の書という本の裏面に残っている記録である)
O月O日
もうどれほど隠れて暮らしているのか分からない。防壁の中から追い出されてから、すでに数ヶ月が経ったようだ。
防壁の中での生活は夢のように感じられる。あの場所では思う存分吸い込んだオードや料理が、今ここでは蜃気楼のような存在だ。
防壁の外がこんなに疲弊しているとは思わなかった。龍族がまだディーヴァを狩っているという現実が信じられない。
O月O日
ふと夢を見た。防壁の中で過ごした平凡な一日。なぜあの時、私はあんな主張をしたのだろうか?
今はとても後悔している。防壁を壊して防壁の外のディーヴァたちも受け入れなければならないという、そんなとんでもない…主張のことだ。
防壁の内側にいたので気づかなかった。この場所の現実を。
今はその考えはすっかり変わった。少数でも幸せな人生を送れるようにすべきだ。それが正しい。