記録と伝承
ディーヴァ研究員の手記
最初から無茶苦茶なことだとわかっていた。しかし、狐にでも化かされていたのか、龍族の提案が合理的だと思ってしまったのだ。ディーヴァは急速にオードが減った環境に苦しんでいて、龍族も資源不足に悩まされていた。実験に協力してほしいと提案されて、後ろめたい気持ちは長く続かなかった。ディーヴァにも腐った者はいくらでもいる。そのためこの実験に貢献することが、これからの世代のためになると信じて疑わなかったのだ。
しかしある日、実験体として向き合った人間…ディーヴァは悪人ではなかった。普通の住民たち。中には妊婦も幼い子供もいた。
ここから逃げようとして実験体にされた元研究員と目が合ったとき、それが自分の未来になると直感した。龍族は私のことを言葉の通じる実験動物程度に思っているのだ。
この記録は懺悔でも何でもない。私の遅すぎる後悔が滑稽に見えるかもしれない。だが…この全てを残さないことには耐えられなかった。次の実験群には私の名前も入っている。龍族は知らないだろうが、資料は十分に持ち出した。死ねばいい!私が死んでも報告書は廃棄されないように…
(血が滲んでいて続きは読むことができない)