記録と伝承
ズミオン神殿の没落
ズミオン神殿は最初に建てられたアイオン神殿であった。アイオンの力を借りて建てられた建築物は巨大で美しかった。そして天上の知恵を持つというズミオンの司祭たちは大きな権勢を誇った。ズミオン神殿はアトレイア全域の信徒たちが憧れる最大の聖地であった。
龍族が支配していた時代だったが、人間たちはアイオンを崇拝し、自らの信仰と文化を守り続けた。しかし龍族が力の欲望に目覚め、神に疑問を投げかけるようになると、世の中には不安な気配が漂い始めた。
龍族は最初の被造物でありながら、最初にアイオンを欺き脅かした存在であった。彼らは自ら権能を覚醒させ、アイオンを超える存在となることを望んだ。龍族は自らに生と死を与えたアイオンを憎んだ。そのような龍族が神殿を快く見るはずがなかった。
龍帝はついにアトレイア各地に建てられた神殿を破壊することを決めた。龍族は直ちにアトレイアに存在するすべての神殿を破壊し、人間たちは恐怖に陥った。全土の神殿を焦土化した後、最後にズミオン神殿の前に立ったミスランテイダは、単に建物を破壊することには満足しなかった。ミスランテイダは低く恐ろしい声で呪いの呪文を唱えた。
「ズミオン神殿に永遠の沈黙を!」
呪いの呪文が終わるやいなや、ズミオン神殿にいた信者と司祭たちはそのまま石像となり、神殿は水底へと沈んでいった。アイオンの象徴とも言えたズミオン神殿の没落は、人間たちに大きな衝撃を与えた。恐怖に押しつぶされた人々は、再び神殿を建て直す勇気すら持てなかった。歳月が流れ、ズミオン神殿は人々の記憶から消え去り、龍族が結界の外へと姿を消した今もなお、水底で沈黙を守っている。