記録と伝承
デオバルの日記帳
XX月XX日
希望はカイジネルだけだと言われた。
だからエリーラを抱きしめて巡礼の旅に出た。
血の滲んだ膝も、裂けた足の裏も気にならない。あの人の前にさえ辿り着けば、必ず…必ず助けてくださるだろう。
XX月XX日
聖所に到着してから半月が過ぎても、エリーラの病状は良くならない。
祈りを捧げても返ってくるのは沈黙だけ。
巡礼者たちは言った。
私の信仰が足りないからだ。
XX月XX日
今日、エリーラが死んだ。
小さくて柔らかい手が、私の手の中で冷たくなっていった。
祈りは終わった。
私の信仰も共に死んだ。
XX月XX日
彼らは今も膝を折り、両手を合わせる。
祈りとは何か。
あなたの名前に全てを賭けさせておきながら、
あなたは一体どこにいるんだ?
XX月XX日
休憩所で遊ぶ子供たちを見た。
誰一人として私の子供より特別じゃない!
私の苦痛を、神が背を向けた絶望を…
彼らも知るべきだ。
(日記がかなり途切れている)
XX月XX日
見つけた。
神の足元にありながら、
その視線が及ばない深い裂け目の向こうに
お前たちを閉じ込め、私とエリーラの苦しみをそのまま味わわせてやる。
(最後の日記である)